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安全性確保・衛生管理事業
 
     
     
 
 

野菜類と加工品

1, 梅干に白い粉末状のものが付着
2, たかな漬けの袋が膨張
3, グリンピースが黒く変色
4, グリンピースに粒状のものが混入
5, カットコーンの表面に赤い斑点
6, 冷凍ほうれん草の根元が黒変
7, 冷凍ブロッコリーの一部が黒く変色
8, 千切ごぼうのグレーズが一部緑色
9, 里芋の表面が一部が黒く変色
10, じゃがいもがピンク色に変色
11, 焼いもが黒く変色
12, 椎茸に虫が混入
13, スイートコーンクリーム缶が灰色や茶色に変色
14, スイートコーンクリーム缶が水っぽい
15, スイートコーンホール缶に毛髪様のものや木片のようなものが混入

16, スイートコーンホール缶に茶色や黒く変色した粒
17, マッシュルームレトルトでマッシュルームの表面に黒斑点
18, たけのこ缶が酸っぱい
19, たけのこ缶の缶内面が黒く変色
20, たけのこ缶の液が白濁し、白い塊付着
21, たけのこ内部が黒く変色
22, トマトペースト缶の底に液が溜まっている
23, トマト角切缶に黒いものが混入
24, トマト缶詰の缶内面に黒い斑点
25, ゆで大豆缶の液が白濁
26, 一食納豆の表面に白い粒が付着
27, いりごまの袋に異物の固まりが入っていた
28, 糸こんにゃくの表面に白い異物が付着
29, こんにゃくの表面に白や茶色の浮遊物
 
                                                                                  
 

【 Q 】 梅干に、白い粉末状のものが付着しています。

【 A 】

 これは梅干の食塩又はクエン酸の化合物などが析出したもので、カビなどの異物等ではありません。
 梅の酸味の主成分はクエン酸ですが、これが漬け込み中に梅や食塩などの原料中のミネラル分(主にカルシウム)と結合して、クエン酸カルシウムとなり、白い粉のような結晶物として梅の表面に現れることがあります。従って食べても無害なものです。
 また、食塩も漬け込み期間中に梅の表面や果肉の中に析出することがあります。
 メーカーとしましては、このように原料由来のもので無害ではありますが、製品詰めの段階で検品の強化をして除去することで対応したいとのことです。また、原料の梅自体に白く結晶化している場合もあるので、原料の洗浄も徹底したいとのことです。
 この物資は、JAS(調味梅干)マーク付きの粒ぞろいの品で、保存料無添加、無着色のものです。また、酸味と塩分を抑えた商品となっています。よろしくご利用をお願いいたします。
[引用資料]
 ・東京都 「食品の苦情Q&A」(平成3年)
 
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【 Q 】  たかな漬けの袋が一袋膨張していました。

【 A 】

 ご迷惑をおかけしました。ご飯のおかずとして、また野菜の加工品として数多くご利用いただいている物資であり、残念です。現物は、ヒートシール面や袋自体のピンホールなどの異常はありませんでした。原因は、殺菌加熱工程で袋が重なったため加熱が不均一となり、内部が 殺菌不足になったと考えられます。
 工程は、たかなを全自動充填後真空包装し、整型プレスコンベアーを通して袋を平らにしたものを、ボイル槽に一袋づつ並べて入れ、殺菌を行います。この場合、袋が重ならないようにしていますが、時としてすべり込んで重なることがあるようです。二袋程度ならば温度は充分かかりますが、それ以上重なった場合は加熱不足を生じる可能性があります。未加熱真空包装品の保存テストを行った結果、常温では3日で、5℃の冷蔵でも7日でガス発生により袋の膨張が始まりました。通常の加熱製品では、常温でも3ヶ月以上の保存が可能です。しかし保存料無添加製品であり、本会では冷蔵保管・流通物資として賞味期限3ヶ月で取り扱っております。
 メーカーにおいてはボイル槽に入れる場合の重なり防止策を再検討し、更に加熱殺菌時間を延長するなどの再発防止対策を講じています。
 また無添加製品の品質保持に対する、製造管理と認識を工場内で再構築することを求めました。今後ともよろしくご利用をお願いします。
 
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【 Q 】  グリーンピースが黒く変色していました。

【 A 】

 ご心配をおかけしましたが、変色の原因は過熟によるもので、腐敗やその他の原因によるものではないことがメーカーの調査で判明しました。この製品は、中国・九州地区の共同購入品として広くご使用いただいているもので、ニュージーランドで穫れた原料を現地で加工し、メーカーを通じて一括購入しています。
 ご存じのとおり、グリーンピースはえんどうの子実を未熟成の時期に収穫したものであり、収穫が遅れてしまうと種実が硬くなり、緑色があせたり、今回のように黒く変色したりします。品質の低下はあるものの、食して害があるものではありません。
 加工工場では、このような変色したものや異物を取り除くために四段階で選別を実施しています。まず、原料入荷時に目視選別を行います。洗浄後に風力選別、目視選別、さらに凍結後、目視で選別をしています。
 現地では、12 月~2月にかけて収穫されます。毎年収穫期に畑ごとの成熟状況のデータを集め、一番適熟の時に収穫、加工を行っていますが、日当たり、栄養等の条件により、生育の違いが出ますので、過熟のもの、未熟のものが同時に収穫されてしまうようです。
 異物の混入を防ぐために、目視選別ラインのコンベアの速度を従来よりも減速させ、厳しいチェックを実施し、また包装した製品を抜き取り、異物の混入状況を記録に残し、異物除去の効率化を図っています。よろしくご利用をお願いいたします。
[引用資料]
 ・杉田、他「日本食品事典」医歯薬出版
 
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【 Q 】  グリンピースに粒状のものが混入していました。何でしょうか。

【 A 】

 ご指摘のものは「アザミのつぼみ」でした。「アザミのつぼみ」を食したことによる健康被害は報告されていません。
 アザミはキク科の多年草で、地上部分を刈り取っても根が残っていると翌年再び芽を出します。
 産地であるニュージーランドの殆どの農場にアザミは生息しています。特に作物と同じ程度の背丈になるため、グリンピースの畑ではアザミをどの様に駆除するかが大きな問題になっています。
 つぼみの大きさは、ちょうどグリンピースと同じくらいの大きさ、色であり、選別にも非常に困難が伴います。
 メーカーではそれらを含めた異物・夾雑物を除去するために洗浄、色彩選別機、金属探知機、目視での確認等の工程をもうけています。
 特に有機栽培の農産物につきましては、収穫時期によってはこうした夾雑物が農場に多数存在する場合があり、収穫する際にはそれらを出来るだけ避けて収穫を行う等の対処をしています。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  冷凍カットコーンに赤い斑点状の模様が入っていましたが、カビではありませんか。

【 A 】

 ご心配をおかけしました。
 ご指摘の件についてメーカー共々調査しましたところ、相互に類似した状態ではあるものの、本当にカビの発生が原因の場合と、収穫畑による自然現象が原因の場合との二つの事例があることが判りました。
 カビの発生が原因の場合は、何らかのミスで製品検品後から輸送・流通の段階において、外気温近くに長時間さらされたような場合が考えられます。国内でのカットコーン製造は、北海道で栽培から加工まで行われています。コーンは農家との契約栽培原料を収穫後、30分以内に工場へ搬入し、最終製品まで2時間以内が目安というスピーディなものです。少なくとも収穫から製品検査の工程までは連続作業である上、直ちに- 40℃で凍結されるので、カビの発生の余地はありません。
 一方、収穫畑により赤色を帯びた斑点模様が発生する事例のほとんどは、コーンの糖化が進んで高分子の炭水化物から低分子の糖類が増加した場合に起こります。一般に最近のコーンは甘く熟度の高いものが多いため、このような原因での赤変(褐変)模様がみられることが多いようです。
 また、受粉時に種類の違うコーンとの交配が起こって発生する斑点模様もあります。ピーターコーンなど商品化された品種もあり、これは見てそれと判る場合が多いと思われます。
 今回のご指摘の場合については、実は現物が確認できませんでしたので、メーカーに対する指導は今後の再発防止と共に、類似の現象の鑑別方法を主体にしました。ただ、過去カビと思われる事例もあったということで、メーカーとしては加工工場の変更を行い、配送ストックポイントの指導強化を実施するなど、積極的に対応しました。
 収穫畑についても計画生産のなかで極力特定していくとのことですので、ご利用をよろしくお願いいたします。
 
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【 Q 】  冷凍ほうれん草の根元が黒く変色していますが、大丈夫でしょうか。

【 A 】

 わずかな色や形状の違いでも気になることと存じます。これは、ほうれん草がもともと含んでいるアントシアニン色素が加工時に変化したもので、腐敗などによるものではなく、別段品質上の問題はありません。
 植物性食品に含まれる色素は大きく分けて脂溶性色素と水溶性色素の二つに分類され、ほうれん草の根元の赤色は水溶性色素のアントシアニンであるとされています。この色素はイチゴやサクランボのような果実や、アカカブの赤色、ナスの紫色などに含まれています。
 一般にアントシアニンはpHの影響を受けやすく、ご存知のように酸性で赤色を示して安定ですが、中性ないしアルカリ性では青色を示して酸化されやすく不安定となります。また、鉄などの金属と錯塩を形成して濃青色となることが知られています。
 冷凍ほうれん草の根元の変色もこのようなアントシアニンの変化によるものと考えられます。加工時のブランチングによる加熱温度や冷却、冷凍条件の違いによって色素が変化し、赤黒く見えてくるものと考えられます。
 ほうれん草の色素などが専門の研究者によれば、生のほうれん草の時点で根元が黒く変色している場合には、既に緑葉も黄色化が進んでおり、いわゆる腐った状態であるということです。
 今回のように根元のみが変色しているものでは腐敗によるものとは考えられません。各種の食品添加物の使用によればある程度色素の変化を防止できるようですが、学校給食用としてはもちろん好ましくなく、天然素材としてはこの程度の変化はやむを得ない範囲であるとご理解ください。
 なお、念のためメーカーに対しては、製造工程において黒変化の低減を図るため品質管理の強化を依頼しましたことをお知らせします。
 
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【 Q 】  冷凍ブロッコリーの一部が黒く変色していますが、食べても大丈夫でしょうか。

【 A 】

 ご心配をおかけしました。これは、ブロッコリーの花蕾部分が細菌(バクテリア)に感染し、発生する花蕾腐敗病という病気に罹ったものです。ブロッコリーが発蕾する時期に曇った日や雨の日が続いた場合に多く発生するブロッコリーの病気です。
 はじめは花蕾の一部に濃緑色の病斑が形成され、だんだん淡褐色から黒褐色に腐敗していく病気で、激しくなると、花蕾全体が腐敗するようです。
 発蕾期における薬剤散布で防ぐことができるようですが、発病後はどの薬剤を散布しても効果がないようです。もし、ご使用時に病害にあった花蕾を見つけられた場合は、取り除いていただきますようお願いします。
 メーカーに対しては、原料選別時の病害にあったものの除去を強化するよう指示しておりますので、ご理解のほどお願いします。
 
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【 Q 】  冷凍千切ごぼうで、グレ-ズの一部が緑色になっているものがありました。

【 A 】

 現物は確かに鮮やかな緑色のグレ-ズが付着していました。この現象は、ごぼうに含まれているクロロゲン酸(タンニンの一種)がアルカリ成分の影響で緑色に変わったものです。前処理洗いで取れてしまい、品質的には何らご心配ありません。
 ごぼうの場合、アクが強く、溶け出したカリウム、ナトリウム等のアルカリ性の成分で緑色かかった色に変色することがあります。クロロゲン酸を多量に含んだ場合に発見される事が多いようです。他の例では、カルシウム剤や重曹を配合したバッタ-を付けて揚げたごぼう天の衣が、緑色になったということもありました。
 また、クロロゲン酸は酸化酵素の作用で酸化され、褐変を引き起こす場合もあります。袋から取り出したごぼうの切り口が空気に触れて黒変するのはこのためです。
 この防止策として、一般には、ゆで液の中に添加物を加えることで漂白、アク抜きを行うとのことですが、本会のものは無漂白ですので、その分変色しやすいようです。
 また、ごぼうには同じポリフェノール類のアントシアニン系の色素が含まれており、このアントシアニン系色素は、赤や青、紫色などの花や果実、葉に含まれる色素でpHの違いにより変化し、一般に酸性で赤色、アルカリ性で青色を呈する共通の性質を持っています。ごぼうと里いもを一緒に煮込んだ時に、里いもの一部が青紫色になったという相談例がありましたが、ごぼう中のアントシアニン系色素がアルカリ成分の影響で変色したことによるものと思われます。
 クロロゲン酸の場合と同様にゆで液を酸性にすることで発色を抑えることができます。または重曹を入れてアルカリ性にすることで逆にアク抜きを促進し、漂白することもできますが、添加物を使用せずにブランチング処理を行ったものは、アク等の影響により周辺部が変色しやすいので、ご理解をお願いします。
 
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【 Q 】  里芋の表面の一部が、黒っぽく変色していました。

【 A 】

 これは、原料の里芋の親芋と子芋を切り離した際にできる切り口が、空気に触れて変色したものです。未加熱の状態ではあまり判りませんが、ボイルしてしばらくすると発生します。変色した部分は食べて問題のあるものではありませんので、ご安心下さい。
 お届けしている冷凍里芋の原料は九州産で、主に宮崎、鹿児島県産のものを使用しています。石川早生と呼ばれる品種で子芋を食用とされるものです。8~9月頃に収穫され、鮮度を保つためそのまま泥の付いた状態で麻袋に入れ、工場に運び込まれます。一時冷蔵庫で保管し、加工用原料として使用します。
 原料の里芋は親芋と子芋を切り離し、子芋だけを使います。切り離した子芋は皮むき→洗浄→成型→サイズ選別→ブランチング→冷却→冷凍→袋詰の製造工程を経て製品化されます。切り離した際の切り口を長時間空気に触させると、酸化反応による褐変の原因となります。加熱するまでは変色しないため、サイズ選別するまでは発見されませんが、ブランチングによって里芋に熱が加わることで一部は変色を生じます。目立つものは取り除かれますが、時間を置いて発色することもありますので、発見されずにそのまま製品となる場合もあります。成型、冷却、袋詰の段階で検品を行いますが、完全に除去するのは困難のようです。防止策としては、親芋と子芋を切り離した後は手早く加工して、空気に触れる時間を極力短くする方法しかありません。
 このような現象は里芋に限らず他の芋類でも見られます。
 山芋を擦ってそのままにしておくと、切り口やおろしたものが黒く変色するのも同様な酸化反応によるものです。
 原料里芋の作付けは年々減少しており、学校給食で使用しやすいものはSサイズや2Sサイズですが、現在では全てこのサイズの原料で対応するのは難しくなっており、メーカー、本会共に数量を確保するのに大変苦慮しています。ご理解をお願いします。
 
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【 Q 】  じゃがいもの皮を剥くと一部ピンク色に変色していました。

【 A 】

 ご指摘のものを確認すると、確かに一部薄いピンク色になっていました。
 早速調査した結果、変色部分が外側に見られることから、低温状態が長く続いたことでの低温障害によるものであることが判りました。変色した部分は食べて問題のあるものではありませんので、ご安心ください。なお、数日経つとその部分が段々赤褐色に変わっていました。
 このようにじゃがいもがピンク色に変色する原因として、以下の三つのことが挙げられます。
 まず低温障害によるものです。一般的に野菜を保存する場合、低温で酸素を少なくし、エチレン生成を抑制することが必要ですが、その条件が極端過ぎると様々な障害が起きてしまいます。これは収穫後も野菜自体は生きており、代謝を続けているためです。多くの場合、5℃前後で保存しますが、それよりも低い温度だと低温障害を起こします。じゃがいもは寒冷に強く、2~4℃で貯蔵されますが、これよりも低い温度で長期間保存すると、他の野菜同様に低温障害を起こします。障害の程度によりますが、肉質は段々と赤褐色に変化し、皮に近い部分で変色が見られます。本会の冷蔵庫での発生を心配しましたが、毎日の温度管理を行っており、在庫期間を夏場は2~3日間、冬場は5~6日間と短く設定していますから、その可能性は低いと思われます。また1月に北海道産のもので発生していることから、冷蔵保管中の温度低下によるものではなく、現地で冷たい外気に長時間触れたことによる低温障害と考えられます。
 二つ目は酸素不足によるものです。収穫される前に雨が多く、急激に気温が上昇した場合、土壌は湿度過多となり、じゃがいもは酸欠状態になります。それで呼吸が止まり、肉質の中心部に変色を起こします。
 どちらの場合も必ず起きる現象ではなく、また外観からは判別できず、カットしたり皮を剥くまでは判らないものです。メーカーとしては有効な選別方法がなく、大変苦慮しています。
 三つ目はご存じの方も多いと思いますが、じゃがいもの切り口や皮を剥いた跡が空気に触れて褐変する時も、初期段階ではピンク色になります。この現象は剥皮褐変と呼ばれています。空気に触れることで、じゃがいも中のチロシンと酵素チロシナーゼが酸化反応を起こし、メラニンという褐色物質ができます。メラニンが少しずつ蓄積していくため、変色は段階的に進み、初めは赤っぽく、次に褐色、そして黒変します。この褐変現象はじゃがいもに限らず、他の芋類でも見られます。
 以上のような変色は、腐敗や虫害といった類のものではなく、生理的なものです。よろしくお願いします。
[引用資料]
 ・「商品クレーム事例集」コープこうべ・商品検査センター
 ・「消費者相談Q&A」農林水産省
 
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【 Q 】  焼いもに1個黒く変色しているものが混じっていました。

【 A 】

 ご迷惑をおかけしました。この製品は鹿児島県内で加工されたものであり、早速製造元に調査を指示しました。
 変色の原因は、黒斑病というさつまいも特有の病気による黒変です。強い苦みをもつために、食用には適しません。通常の収穫をし、適正に貯蔵されたいもには発生しませんが、打撲により傷んだか、保管状態の悪いいもが弱ってかかることがあるといいます。加工工程では、いもの洗浄後、表皮と両端を切って中の状態を確認しています。今回のものはその段階ではまだ症状が浅く、凍結後に黒変が進んだものと思われます。
 さつまいもは昔から親しまれてきた食品ですが、貯蔵性という点では水分が多いこともあって寒さに弱く病気にかかりやすい他、呼吸熱や二酸化炭素の発生が多く、発芽しやすいなどの困難な面があります。一方ではその呼吸熱を利用して地穴に保温貯蔵されてきたという特徴のある作物です。現在では技術の発達により、厳密な貯蔵管理が行えるようになりました。原料いもの貯蔵は、10 ~ 15℃で湿度 90 ~ 95%が最適とされています。もし9℃以下になると軟腐病といって、いもが液状化する病気にかかりやすくなります。また、20℃以上では今回のような黒斑病にかかりやすくなりますので、貯蔵管理が大変大切です。
 また、さつまいもは収穫時にどうしても傷がつきやすく、そこから貯蔵時に黒斑病などにかかりやすくなります。そこで貯蔵前などにキュアリングという操作が行われます。これは、32 ~ 35℃、湿度 85 ~ 90%という高温多湿の状態に、4~6日間置くというものです。この操作によって傷ついた組織はコルク化し、病原菌の侵入を防ぐことができるようになります。さらに低温にも強くなり、著しく貯蔵性を増すことになります。いもの表面の傷が白くコルク化している場合がありますが、これはキュアリングによるもので、品質の良否には特に関係ありません。
 現在お届けしている「焼いも」の原料は国内でも代表的な品種の高系 14 号という、おいしい粉質のものが使用されています。ぜひ今後ともご利用をお願いします。
[引用資料]
 ・渡辺「農産食品の実際知識」東京経済新報社
 ・緒方「青果保蔵汎論」建帛社
 ・河野、他「調理科学事典」 医歯薬出版
 ・桜井「総合食品事典」同文書院
 
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【 Q 】  乾燥椎茸に、虫がはいっていました。

【 A 】

 申し訳ありませんが、次の理由によりなかなか困難な問題であることのご理解をお願いします。
 乾燥椎茸は香り、味、栄養など優れた特性を持っていますが、空気、湿度、物理的刺激等によって酵素が働き、化学反応を起したりして、変色などの品質劣化が起ることがあります。また、害虫がつきやすく、駆除がしにくい欠点があります。これらの欠点を少しでも減らすため、現在本会取り扱い椎茸のメーカーでは冷凍保管を実施しています。
 国内産の椎茸は自然食品として無農薬栽培されています。そのため、害虫の駆除方法としての防虫剤・殺虫剤の使用はイメ-ジに反するものとして行うことができず、業界としても虫混入問題には大変苦慮しているようです。椎茸の食害虫には、栽培中に発生するものと、乾燥後に加害するものに分かれ、次のようなものがあります。
1.原木、榾木に発生・混入するもの
 ・カミキリムシ類
 ・キクイムシ類
 ・ゴミムシダマシ類
 ・ヒロズコガ類
2.生椎茸に発生・混入するもの
 ・ヒロズコガ類
 ・オオキノコムシ類
 ・キノコバエ類
 ・トビムシ類
3.乾燥椎茸を加害するもの
 ・ヒロズコガ類
 ・ヒラタムシ類
 ・オオキノコムシ類
 ・ノシメマダラメイガ
 本会における虫の混入事例は幼虫形態での混入が大部分を占め、その多くはニホンホソオオキノコムシの幼虫か、ヒロズコガ科のコクガの幼虫でした。
 ニホンホソオオキノコムシの成虫は体長4㎜前後の一見テントウムシに似た甲虫類です。
 コクガは別名「椎茸蛾」ともいわれる小型の蛾で、椎茸に最も多い害虫だそうです。ヒロズコガ科の蛾は他にも多く、椎茸をはじめ色々な食品での混入事例があるようです。
 ヒラタムシの成虫は体長1~2㎜、幼虫は約1㎜の乾燥食物の一般的な害虫です。雑食性であるため、椎茸の他にも何にでもつくのが特徴です。
 業界としての防除対策は、これまで概ね次のような対応がなされてきました。
  1. 生産者農家、農協、流通、加工の各段階で作業環境の整備及び冷蔵保管。
  2. 害虫の生態と発生のメカニズムを解明し、各過程での対応。
  3. 根絶を期すならば農薬の使用を行わざるを得ず、自然食品としてのイメ-ジを壊さない適した薬剤の開発を、
    業界として望む。
 本会及びメ-カ-としては、先のとおり薬剤等の使用を行わないことで対策の検討を重ねてきました。その結果、マイナス 25℃の冷凍倉庫に 15 日間入れることにより害虫の卵の孵化を防止することにしました。これは非常に効果があり、その後虫の混入事例、特に生きた害虫の発生事例はなくなりました。
 しかし、この方法も、冷凍処理する前に幼虫となっていて混入したものは防げません。椎茸のヒダに入り込んだものなどは、選別の段階でもなかなか発見が難しいのはご承知のとおりです。ある程度のご理解をいただきたく存じます。
 本会としてもメ-カ-との連携を図り、安全な物資の確保に努めていきたいと存じます。よろしくお願いします。
 本会の乾燥椎茸で見つかったコクガの幼虫の写真を掲載します。
[引用資料]
 ・三井英三「食品工業と害虫」光琳
 ・河田 他「日本幼虫図鑑」図鑑の北隆館
 
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【 Q 】  スイートコーンクリーム缶詰で、表面が灰色がかった汚れのようなものや、
内部まで茶色に変色したものが時折見受けられます。

【 A 】

 表面が灰色がかった汚れのようなもの、茶色に変色したもの、いずれも缶詰の加熱殺菌などによる変色です。別に害のあるものではなく、使用していただいて大丈夫です。
 灰色がかったものは、スイートコーンのアクが酸化変色したものです。
 缶詰の中は完全な真空ではなく、ヘッドスペースと呼ばれる空隙部分が残っています。加熱殺菌の熱や、保存中に残存空気中の酸素と結合して、スイートコーンのアクが灰色になり、上面や縁の部分に浮いていたというわけです。従って、品質的・衛生的には問題ありません。
 茶色に変色したものは、加熱によりコーンの成分が褐変したものです。缶詰のフタに付着したコゲとなって現れた例もあります。
農産物缶詰の加熱殺菌においては、ボツリヌス菌をはじめとする耐熱性の土壌細菌汚染を防止することが重要であり、強い加熱条件が要求されます。中でもスイートコーンなどは中性に近い食品なので、酸性の食品と異なり殺菌効率が悪くなります。特にクリームスタイルのものは糖質が多く粘稠なこともあり、熱伝導性が低くて不均一な加熱になりやすいため、最も殺菌困難なものとされています。しかも1号缶という大型缶では以上のような要因による殺菌不足を 防止するため、殺菌室内を移動させながら、例えば 129℃、20 分という強い加熱条件による殺菌が行われています。
 スイートコーン1号缶のような大型缶の製造はタイやアメリカなどに頼っていますが、現地では特に厳しい加熱殺菌が要求されるとのことで、褐変についてはご理解をお願いします。
 この食品自体が黄白色なので、わずかな色の違いも気になるものですが、近年極端な事故は少なくなったといいます。適度の缶内真空度が保たれている限り、缶詰内の経時変化は少ないものです。今後ともよろしくお願いします。
 
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【 Q 】  スイートコーンクリーム缶で1缶だけ中身の粘度がなく、水みたいな感じでした。
臭いや味などには異常はないようですが大丈夫でしょうか。

【 A 】

 ご心配をおかけしました。
 原因は、一部製品の製造管理に不備があったため部分的にクリーム濃度の低いものが混じったものと思われます。内容物そのものの変質などは検査の結果異常ありませんでしたが、ご指摘の品は使用しないで下さい。
 納入者を通じ製造工場への調査を行いましたところ、このような状態になる原因は二通りあるようです。
 一つには、攪拌タンク内での粘度調整不足が考えられます。クリームスタイル缶詰製造においては、粒のコーン、クリーム状のコーンにコーンスターチを加えて粘度調整をし、粘度を確認後に充填装置に送ります。この粘度調整が不足していた場合には、ご指摘のような状態のものが発生します。しかし、この場合は1タンク分の不良品が発生しますので、約 80 ケース以上もの計算となります。
 二つ目には、製造中のタンクの切り替え時に最初に充填装置に出てきた濃度の薄いものが、本来除かれるべきところ誤って混入したことが考えられます。今回は空缶の回収と缶マークの確認ができました。これまでのところ一つの製造ロット当たりの発生件数が少ないことから、こちらの原因によるものと思われるとの回答を得ております。
 納入者から現地工場への要望では、ライン上の監視の徹底と現場作業員の教育周知徹底を求めております。
 なお、時折ご連絡を受けるクリーム部分の変色(茶色、コゲなど)については、正常な範囲としてご理解をお願いします。スィートコーンクリーム缶のようにでんぷんが多くて粘稠で流動性が少なく、熱伝導性が低い缶詰食品の熱殺菌ではかなり苛酷な条件での殺菌となり、着色し易くなります。これらの1号缶のような大型缶の製造はほとんど輸入品に頼っていますが、農産物の場合はボツリヌス菌中毒防止の面から特に厳しい殺菌基準が設けられており、安全性のためには多少のコゲ状態は止むを得ないものと考えられているからです。従って、褐変したりコゲ臭のあるものに対しては、現地ではクレームとしては受け付けないとのことであり、再度ご理解をお願いいたします。
 
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【 Q 】  スイートコーンホール缶に毛髪が混入していました。
また、木片のようなものが入っていました。

【 A 】

 ご指摘品を確認しましたところ、毛髪ではなく原料であるとうもろこし由来のコーンの絹糸(シルク)でした。
 当該製品は製造工程において、コーンをカットした後、洗浄水による水洗い、扇風機、カラーソーターを通り、目視選別を行い、異物や変色等のコーン粒は除去されますが、その時点で見逃されたものと思われます。
 また、他にも「木片が入っている」というご指摘を受けることもあります。これもコーンの軸片や外皮(ハスク)であり、いずれもとうもろこし由来の夾雑物です。
 このような原料由来の植物性夾雑物は、各パッカー及びアメリカ農務省(U.S.D.A.)の規格では、完全に除去することは困難とされており、コーンの皮(ハスク)の混入の許容量は 1.61㎡ /283g以下(12.1c㎡ / 缶以下)と認められた規格で製造販売されています。しかしながら、メーカーで選別人員の増強等、品質改善の対策を取っています。
 このような事情をご理解の上、今後ともご利用よろしくお願いいたします。
 コーンの軸片について、発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  スイートコーンホール缶で粒の表面が茶色や黒く変色したものが見られます。

【 A 】

 缶詰の加熱殺菌などによる変色であり、害があるものではなく、ご使用していただいて大丈夫です。
 農産物缶詰の加熱殺菌においては、ボツリヌス菌をはじめとする耐熱性の土壌細菌による汚染を防止することが重要であり、強い加熱殺菌条件が要求されます。中でもスイートコーンなどは酸性の食品と異なり中性に近い食品で殺菌効率が悪いので殺菌が困難なものとされています。しかも1号缶という大型缶では、殺菌不足を防止するため、強い加熱条件による殺菌が行われます。
 茶色や黒く変色したものは、加熱によりコーンの成分が褐変したものです。スイートコーン1号缶の製造はタイやアメリカなどに頼っていますが、現地では特に厳しい殺菌が要求されるとのことで、安全性のためには多少のコゲ状態はやむを得ないものと考えています。褐変したコーンについては、味もおかしいとご指摘を受けることもありますが、コゲに近い状態まで熱が加わったため、コゲ臭を感じて味もおかしいと感じられたと思われます。また、コーンの粒が缶蓋や缶壁に付着し、殺菌のための強い加熱を受け、コゲが生じることもあり、ご指摘の様なコーンの粒が見られることもあります。害があるものではありませんので取り除いてご使用下さい。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  マッシュルームレトルトで、表面に黒褐色のカビのような斑点が付着していました。

【 A 】

 これはカビではなく、マッシュルームの栽培途中で様々な要因によって黒く変色したものです。別に害のあるものではなく、使用していただいて大丈夫です。
 黒斑点が生じるメカニズムは、十分な解明はなされていませんが、概ね次のように考えられています。
 マッシュルーム中に生じた黒斑点の場合、堆肥や土壌中に含まれる微量の硝酸イオンと鉄分を吸い上げ、反応してできるのではないかと思われます。ご指摘の件は、内部にできた斑点がスライスすることで断面に現れたものです。
 マッシュルームホールの表面に見られるものは、噴霧器での水分補給の際に、水分が多過ぎて表面に水滴が残ってしまい、斑点になってしまうようです。また、収穫後からボイルまでの取り扱いの間に、こすれたりしてキズとなった部分が変色してしまうのではないかと考えられています。
 製造時には、ホールの外観や、スライス時の選別工程で極力取り除くようにされていますが、製品に混入してしまうこともあるようです。
 マッシュルームなどの農産物缶詰・レトルト製品では、pH 調整をして殺菌効果を確実なものにするためや、ヘッドスペースに残った空気による褐変防止を期待して、ビタミンCやクエン酸の使用を認めています。一般にはその作用によって、黒斑点も製造から3ヶ月位から後、時間の経過とともに消失していきます。しかし個体差で残るものも若干ありますが、別段有害なものではありません。
 実物の比較写真を別図に掲載しました。今後ともよろしくお願いします。
 
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【 Q 】  たけのこ5㎏缶の身が酸っぱく感じましたが、殺菌不足ではありませんか。

【 A 】

 ご心配をおかけしました。ご指摘の缶について、内容物の試食や検査を行った結果、腐敗ではありませんでした。
 この5㎏缶と1号缶は、共にリパック物といいまして、原料には 11㎏缶のものを使用しております。たけのこ缶詰製造工程においては、アク抜きと次に述べる白濁防止のため、水さらしを行いながら pH を 4.5 ~ 4.2 に調整した後 11㎏缶に詰め、脱気、加熱殺菌をします。特に pH を調整するのは、弱酸性下で耐熱性菌に対する殺菌効果を高めるためで、高圧殺菌が困難な大型缶の場合は非常に大事な工程です。従って、若干液に酸味を感じますがこれは異常ではありません。
 5㎏缶や1号缶のような 11㎏缶から詰め替えるものは、二度殺菌工程を経るため加熱気味となることもあり、原料缶を開缶した時点で pH 値を検査し、値が 4.2 以下のものは酸味が強いので除外するようにしているとのことです。今回はこの pH 値が低いものが除外されずに、使用されてしまったものと思われます。メーカーでは pH 管理の再徹底など、作業者全員に今回の内容を周知して対策にあたると約束しています。
 腐敗の場合は、水さらし不足でアク抜きが不十分であり、pH がやや高く(アルカリ側)なったため、殺菌不足となって耐熱性菌が繁殖してピンホールなどによるものと同様、内容物が溶解したり、缶が膨張したりします。
 本会では、主に福岡県産のたけのこ原料を使用しておりますが、近年の猛暑などの異常気象により不足気味の年が続いております。何卒ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。
 
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【 Q 】  たけのこ18ℓ缶詰で、缶内面が黒く変色しています。
膨張などの異常はないようですが・・

【 A 】

 ご心配をおかけしておりますが、内容物自体の腐敗などによるものではありませんので、ご安心ください。製造者や本会の調査した資料によってご説明します。
 原因は、缶内に残存した空気や、たけのこに含まれる硝酸イオンによってメッキ面のスズと鉄の合金層が酸化され、酸化被膜をつくったために黒変したものといわれています。液やたけのこへのスズの溶出量には異常なく、缶内面がほとんど黒変したものの場合でも本会の測定値では液で 15 ~ 80ppm、たけのこへの移行はさらに少なくて 10 以下~ 40ppm 程度でした。メーカーの検査結果でも同様な内容でした。特にホールのたけのこの場合は、吸着しにくいともいわれています。
 たけのこの水煮缶や果実のシロップ漬け缶詰は、内面無塗装缶が使用されていますが、これは缶内に微量に存在するスズの還元作用によって、貯蔵中の内容物の色、味、香り、ビタミンなどの変化を防ぎ、原料の持つ品質を長く保つためです。塗装した缶やプラスチックの容器に詰めた場合には、3ヶ月程で徐々に変色したり、香りや味も悪くなります。2~3年間品質を保つためには、ブリキの無塗装缶が最も適した容器であるわけです。
 無塗装缶では、内面の一部が黒くなっている場合があり、液界面やたけのこなどの固形物と接触している部分に発生します。これは、殺菌後の缶詰の液界面では酸素濃度が高くなっているため他の部分よりスズの溶出が早く、スズメッキの下の合金層が露出して黒色を呈します。また、固形物と接触している部分では、食品成分とスズイオンが化学的に結合するため、同様に黒色を呈することがあります。
 缶内に残存する空気については、たけのこの場合は節の間に空気が残りやすく、殺菌・脱気を十分行っても徐々に液と入れ替りながら残存空気として出てくるため、結果的には一般の缶詰よりは脱気不足の状態になりやすい傾向にあります。
 このため、製造に際しては通常、筒型のたけのこは下から節間に小さな穴を開けて、脱気・殺菌時に空気が抜けるように工夫しています。また、殺菌後も 10 分前後放置して節間の空気と液が完全に置換するのを待ち、その後熱水を加注し満水状態で缶蓋を巻締めするようになっています。
 一般にたけのこ缶詰は、収穫後に 18ℓ缶詰にして加工用原料とします。これを需要に応じて1号缶詰などにリパックします。18ℓ缶詰製造においては、風味保持のために皮付きのままでボイルします。従って、大型缶として供給している 18ℓ缶詰は、原料たけのこの風味がより良い反面、前述のような変化を受けやすく、他にチロシンの析出による白濁などの発生も多くなります。
 メーカーとしても加工工程での管理を入念に行っておりますので、よろしくご利用をお願いします。
 
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【 Q 】  たけのこ缶詰の液が白く濁っていました。異臭はないの
ですが、身にも白い塊がついていました。

【 A 】

 液が白濁したり、白い塊が付着するのは、全く正常な現象です。
 この現象は変質などによるものではありません。たけのこに含まれるアミノ酸のチロシンに、カルシウムなどが結合して結晶化したものです。見かけはともかく、全く無害です。
 この結晶は、製造後の缶内で徐々に生成されており、多くは身の内側や節の間などに見られます。時には身の外側に貝殻状に付着したり、場合によっては液の白濁原因ともなります。液全体が豆腐の様な状態になったものが見られたこともあります。チロシンの結晶化を少なくするためには、缶詰製造時に水さらし時間を長くしてアミノ酸などの水溶性成分を洗い流せば、ある程度減少しますが、それでも完全ではありません。また、なにより栄養成分や旨味成分を逃がしてしまうことになります。むしろ消費者側の正しい理解をお願いしたい例です。
 福岡県は、国内でも有数のたけのこ産地です。お届けしているたけのこ缶も、主に県内産原料で製造されています。九州各県との共同購入にも、この製品が供給されています。
 缶詰製造は、収穫シーズンの春から初夏にかけて集中的に行われます。物資課と検査室合同での、県内2ヶ所の製造工場の調査も早めに行って製造状況を確認してきました。
シーズンパックであり、旨味成分のアミノ酸が多いため、特に大型缶では白濁事例は見られると思われます。ご理解をお願いします。
 
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【 Q 】  たけのこ缶詰の中が泥が染みたように黒く、また、表面は正常な色なのに
内部が全体的に黒くなっていました。使っても良いですか ..。

【 A 】

 大変ご心配をおかけしましたが、腐敗によるものではありませんのでご安心ください。当該品は表面の一部や内部が灰色および茶褐色になっておりましたが、検査の結果では肉質、香味などは正常であり、pH などにも異常がないことから微生物的な変質ではなく、原料に由来する成分変化であると思われます。
 褐変の推定原因として酵素作用によるものが挙げられます。詳しいメカニズムについては依然不明な点もありますが、原因の調査で原料たけのこの前処理工程の手間取りにも一因がありそうなことが判ってきました。原料の収穫から処理までの遅れやボイル後の冷却不足などにより、部分的に色素が変色したり、酵素褐変することがまれにあるようです。
 たけのこ缶詰の製造は、収穫後の原料たけのこを皮が付いた状態でボイルします。その後冷却、水晒しを行い、荒皮剥き及び根元部分の切断を行います。冷却工程の際は重しをしますが、皮付きの状態で冷却を行うため、冷却や水晒しの時に水に浮きやすくなっており、一部が水中に浸漬されない場合があります。冷却されるまでの時間が通常より長くかかってしまうと、たけのこの色素が変色してしまいます。もちろん生育環境や土壌などの影響により、たけのこの成分の中に変色前駆体が生成しているのではないかなどの複雑な推定要因もあることは変わりません。
 選別の段階で取り除いていますが、除けなかったものは、その後の工程でもう一度高温殺菌を行うため、さらに変色が進みます。たけのこ内部に発生することが多く、選別段階では外観が正常なために発見できなかったものです。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。

褐変したもの

左:褐変したもの 右:通常品
 
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【 Q 】  トマトペースト缶の底に液状のものが溜まっています。

【 A 】

 ご指摘のあったものは、ペーストが若干分離して離水が発生したものでした。細菌検査などでは異常なく品質面では正常品と同等でした。
 離水とは漿液分離と呼ばれる現象で、缶などの容器内にトマトペーストを入れておいたときにパルプ質が下に沈み、液が上に浮いてくる状態をいいます。これはトマトペーストの中のパルプ質の量や粒径により保水力が変化してこの様な状態が発生するものです。
 なお、トマトペーストは、トマトの搾汁(又はトマト・ピューレー)を糊状に濃縮したもので、JASでは無塩可溶性固形物 24%以上のものとなっています。
 離水は製造後の保存中に発生するもので、そのままの位置で開缶すれば液面が見えますが、今回は反転させて開缶されたので底の方に液部分が溜まったものです。攪拌してご使用いただいて差し支えありません。
 しかし、ご心配の向きもあると思われますので、メーカーの今後の対策としては、工程のスクリーンの見直しを行ってパルプ質の保水分をアップし、漿液分離を改善していきたいとしています。
 
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【 Q 】  トマト角切缶に黒い異物が混入していました。何でしょうか。

【 A 】

 ご指摘品を確認しましたところ、黒いものは異物や腐敗等ではなく、トマトのヘタの果肉部分並びにトマトの果皮でした。
 これらのトマトのヘタをはじめとして果皮の部分、その他種子、黒変部分についてはトマトの果実の一部分であることから、「異物」ではなく、「夾雑物」と認識しています。
 トマト角切の夾雑物としては、緑色のヘタや日焼け等に伴う果実の黄色い部分も挙げられます。
 黒変の原因については、トマトの生育の過程でカルシウム等の栄養が不足した場合に、生理現象として一部黒くなることが知られています。
 なお、この黒い部分につきましては、トマト由来のもので、缶詰の製造工程において加熱殺菌もされておりますので、安全性、健康被害への問題はありません。
 製造工程では、これらのヘタ、果皮、色調不良果等の夾雑物の混入を防止するため、
①洗浄:トマトの収穫後、洗浄槽による除去
②第一次選別:商品に適さないトマト及び異物・夾雑物を人の目で選別
③色調選別:色調検査機による変色果の除去
④第二、三次選別:皮が十分に剥けていないもの・商品に適さないもの及び異物・夾雑物を人の目にて選別
の対策を実施しています。
 通常、剥皮工程において殆どのトマトの皮が除去されますが、日焼け等の理由により果肉の一部が硬くなった場合、除去されず残る場合があります。今回のご指摘も目視選別で除去できず製品化したものと思われます。
 メーカーはこれらの夾雑物を極力除去すべく努力を重ねていますが、農産物であるために完全に除去することは困難であることをご理解ください。
 なお、トマトのヘタが付いていた果肉側の部分につきましては、トマトの枝より果実へ栄養・水分を送る部位であり、完熟しても赤くなりません。乾燥した気候の中で栽培した場合、ヘタ落ち部がしばしば黒色化する傾向があり、黒色のひどいものについては除去しておりますが、それ以外の場合、当該部位については選別基準を設けておらず、除去を行っていません。
 以上のことをご理解の上、ご利用をお願いします。
 
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【 Q 】  トマト缶詰を開缶したところ、内面に黒い斑点がありました。
原因は何でしょうか。

【 A 】

 ご指摘の黒い斑点は、カビやサビなどではなく、缶の黒色化現象によるものです。これは中身のトマトが直接の原因ではなく、缶の内面塗装膜に何らかの物理的な力により非常に微細な傷が発生し、その部分からトマトの酸成分が浸透して内面塗装内側のスズ層が溶出し、さらにその内層のスズ-鉄合金層(黒色)が出現するという現象です。
 トマト缶詰の缶は、ブリキ板(スズ鍍金鋼板)の内側に樹脂を塗装しています。変色部分は大きく見えますが、傷の発生箇所は非常に微細なため、スズの溶出はごく僅かです。スズ溶出の安全性について、食品衛生法ではトマト缶詰については基準はありませんが、一度に飲用するトマトジュース等飲料のスズ溶出の安全基準値は 150ppm 以下であり、メーカーにおいてこの数値を自主規制の基準値としています。
 また、内面塗装の材質はエポキシ樹脂であり、国内の食品衛生法における食品への適用の認証をうけたもので、万一剥離したコーティング樹脂が人体に取り込まれても健康への影響はなく、人体への危害はありません。
 当該品に使用している缶は、産地であるイタリア国内で一般に使用されている缶のコーティングと比較して内面腐食耐性の強いものを使用しており、内面腐食の防止を図っております。
 ご理解の上、今後ともご利用をよろしくお願いします。発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  ゆで大豆缶詰を開けたら、液が濁っていました。なぜでしょうか。

【 A 】

 いただいた製品を早速確認しましたところ、ご指摘のように濁っており、底に沈殿物がありました。これは、缶底に沈殿した大豆に含まれる成分や、割れた豆の細かい破片等が液中に浮遊することによるものです。変敗あるいは有害なものではありませんので、ご安心下さい。
 ゆで大豆缶詰の製造工程は、乾燥大豆を一晩水に浸漬して戻す→ボイルして水晒しする→選別して缶に詰め、食塩水を注入して密封する→加熱殺菌となります。
 この加熱殺菌時に豆から蛋白質や糖質が液中に溶出し、製品保存中に再度不溶化して徐々に析出してきます。また、割れた豆から破片が生じることもあります。通常は缶の底に沈澱していますが、輸送などで缶を動かした場合などに濁りとして観察されます。
 特に濁りが多い原因として、原料大豆の品質、浸漬、ボイル、水晒し、加熱殺菌、冷却、保存中の条件など様々な要因が関与すると考えられます。この中で、ボイル後の水晒しが不足気味であることが最も影響しているものと推測されます。水晒しを十分にすることで析出沈殿は抑えられますが、逆に水晒しが過多となると豆の風味が乏しくなったり、豆が硬くなったりします。その兼ね合いが、製造管理条件として重要です。
 この製品は豆の風味を損なわないように、ボイル及び水晒しの条件を設定しております。農産加工品缶詰として、安易に食品添加物を使用したり、化学的な処理を施したりしないことを心がけているため、メーカーとしても苦慮しております。もしも開缶時に濁りを呈しておりましたら、大豆を軽く水洗いしてご使用いただくようお願いします。
 液の濁りの他、液がゼリー化していることもあります。
 煮魚ではその汁が冷えてゼリー状になる煮こごりと言われる状態が見られますが、大豆の煮豆などを煮汁がある状態で放置すると同様の状態が見られることがあります。この製品は液の中に豆がある製品なので、液がゼリー化することがあります。これも全く心配ないものです。
 液の粘性の増加は蛋白質又は多糖類の溶出によるもの、あるいは蛋白質と多糖類の相互作用によるものと推測されますが、その詳細は明らかでありません。濁りの原因と同様、加熱殺菌時や製品になった後に豆から蛋白質などが溶出したものと考えられます。製造直後の時点では通常の液の状態ですが、徐々にゼリー状を呈する製品が出ることがあります。
 ゼリー化を防ぐには、濁りの場合と同様水晒しが有効ですが、やはり風味などの品質との兼ね合いから苦慮している状態です。
 現在のところ液のゼリー化については、缶の表示に「ご注意」として説明を書き添えている次第です。ご理解をお願いします。

ゆで大豆缶(通常品)

ゆで大豆缶(濁り)

 
 
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【 Q 】  一食納豆(国産大豆使用)の表面に、白い粒が付着していました。

【 A 】

 いただいた納豆を確認してみますと、表面に白い粒状のものが幾つも見られました。これは、アミノ酸の一つであるチロシンが結晶化したものであり、食べても害のあるものではありませんので、ご安心下さい。
 ご存知のとおり、原料の大豆は蛋白質を豊富に含んでいる食品で、アミノ酸はこの蛋白質を構成している成分です。納豆は、納豆菌の働きによって大豆を発酵させて作られますが、その過程で大豆の蛋白質はアミノ酸へ分解され、さらに納豆独特の香気成分、旨味成分、ネバネバの粘質物などに生まれ変わります。納豆菌による分解能力はかなり強く、一晩で大豆の蛋白質の 50%以上を水に溶ける状態まで分解します。チロシンも水溶性のアミノ酸ですので、通常は納豆中に含まれています。ただ、水にわずかしか溶けないために、納豆が乾燥した状態が続くと、チロシンは水分とともに納豆の表面まで運ばれ、水分が蒸発した後、結晶化します。
 今回の場合、納豆が製造時に既に発酵過多であったか、もしくは気温の影響を受けて二次発酵を起こしたために、水分が失われたことが原因と思われます。
 チロシンの結晶化は、たけのこ缶詰でもよく見られる現象です。液が白濁したり、白い塊が付着した状態で見られます。この原因となるチロシンも元々はたけのこの成分であり、カルシウムなどが結合して結晶化したもので、無害のものとしてご理解いただいているものです。
 
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【 Q 】  いりごまの袋から異物の固まりが出てきました。

【 A 】

 お預かりした当該物を調べましたところ、これは異物ではなく、ごまが製造工程中でつぶれて固まったものであることが判明しました。
 いりごまの製造工程では、種々の精選機を用いて精選を行っています。それらの機器や搬送機の一部にごまが噛み込み、つぶれて固まりが生じることがあります。通常、これらの固まりは充填機前に8メッシュの網によって除去され、製品への混入は防がれます。しかし、この網の目を通り抜けるものについては完全に除去するのが困難であるのが現状です。
 ご指摘を受け、清掃方法の見直しを指導し、再発防止に努めています。
 今回の調査には、バウドウイン法が用いられました。このバウドウイン法は、胡麻に含まれるセサミンなどのごまリグナンに反応するもので、ごま油特有の呈色反応とされるものです。試料油 20ml に濃塩酸 10ml とショ糖 0.1 gを加えると、試料中にごま油が存在した場合、液層が赤-濃赤色の呈色を示します。
 検査事例の写真を入手しましたので、参考までに掲載します。
バウドウイン法による検査結果
左:ご指摘の異物
中:すりごま
右:コントロール(ごま無添加)
 
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【 Q 】  糸こんにゃくの表面に白い異物が付着していました。

【 A 】

 現物を確認したところ、「モ」と呼ばれるものでした。
 こんにゃくの製造過程では、凝固剤(水酸化カルシウム)添加後、押し出した半固形の糊状糸こんにゃくを湯に落とし、プラント内で炊き上げて完全凝固させます。その際、完全に凝固するまでの時間差がありますので、その間にこんにゃくの表面(グルコマンナン)が溶け出し、湯中の凝固剤に反応して繊維状に凝固することがあります。これが「モ」です。従って、摂取しても人体に害はありません。
 通常はプラント内に浮遊している「モ」が製品に混入しないよう、除去装置や網の設置等の対策を取っています。今回の事例は、こんにゃくに絡みついていたものがそのまま一緒に包装されたと考えられます。
 メーカーに対し、混入防止策として製造中の「モ」の発生状況を確認して網の洗浄を早めに実施すること、また、目視選別の強化を申し入れました。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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【 Q 】  こんにゃくの表面に白色や茶色の浮遊物が見られます。

【 A 】

 これはカビや異物などではなく、炭酸カルシウムの結晶がこんにゃくに付着・浮き出たものです。
 当該こんにゃく製品は、「こんにゃく精粉・芋」、「海草粉末」、「水」を混合・膨潤させたものに水酸化カルシウム(凝固剤)を添加し、加熱・凝固させて製造します。製品の充填水にも水酸化カルシウムの添加を行うなど、pH がアルカリ性になるように調整しています。
 こんにゃく製品の表面や充填水に白色や茶色の付着物もしくは浮遊物が発生する理由は、これらに含まれる水酸化カルシウムが、空気に接触することで空気中の二酸化炭素と反応し、炭酸カルシウムとなり結晶化するためです。
 この結晶の発生を防ぐために、メーカーでは製造中にこんにゃくが空気と接触する時間を減らすよう継続的に作業工程の見直しを行っており、また、包装の材質を二酸化炭素が透過しにくいものに変更する等の対策を行っております。しかし、現状では発生を完全に防止するには至っていないようです。ご理解をお願いいたします。
 発生事例を写真に撮りましたので、参考までに掲載します。
 
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